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よむとす No.138 子どもたちに昔話を伝えよう 2016年10月01日

[2017年6月8日]

ID:124

子どもたちに昔話を伝えよう

上郷図書館 矢澤 恵

昔話を知っていますか?日本なら「ももたろう」や「かちかちやま」、外国なら「白雪姫」や「おおかみと七ひきのこやぎ」など、誰でも思い浮かぶものがありますよね。(最近、テレビCMでも話題です。)
そんな昔話は、もともと口で語ることで伝えられてきた口承文学で、耳で聞いてこそ楽しめるものです。ぜひ子どもたちに声で伝えてあげてください。

『昔話が語る子どもの姿』

昔話はどうしてこんなにも長い間、世界中で語り継がれてきたのでしょうか?昔話研究の第一人者・小澤俊夫氏がわかりやすく解き明かしてくれます。
人々の間で語り継がれてきた昔話には、さまざまな人生観や自然観が込められていると共に、子どもの成長の姿を語っています。
たとえば「三年寝太郎」。怠け者でいつも寝てばかりいる男は「寝太郎」と呼ばれて怒られてばかり。でも最後にはちゃんと働いて幸せになるお話しです。
今は寝てばかりいるようにみえる子どもも起きる時がある、子どもの育ちとはそういうものだよ、人生いろいろあるけれどちゃんと乗り越えていけるよ、というメッセージが込められているそうです。
昔話を子どもに語ることで、そんなメッセージが子どもたちに伝わるといいですね。
子育てに悩んでいる方へのヒントがたくさん詰まっている本です。さまざまな形で子どもにかかわる人たちにもおすすめです。

『えほん遠野物語』シリーズ

柳田国男/原作 京極夏彦/文 汐文社 2016年4月

『えほん遠野物語』シリーズの画像

ところで、小澤俊夫氏はもともとドイツ伝承文学の研究をされていた方です。その小澤氏に民俗学者・柳田國男が「日本の昔話も研究してください」と言ったのが、日本の昔話を研究するきっかけになったとのこと。
先日、飯田市美術博物館の敷地内にある柳田國男館(東京都世田谷区より移築)を訪れた小澤氏は、「この書斎で柳田先生にお会いした」と懐かしそうに語っておられました。

その柳田國男の代表作『遠野物語』が絵本になりました。『遠野物語』は岩手県遠野に伝わる言い伝えを集めて編集したもので、内容は河童や天狗などの妖怪から、自然、行事、動物にまつわるものなど多岐にわたります。
今回の絵本のシリーズは、作家・京極夏彦の語りに絵本作家が絵をつけ、山や里にひそむ妖しく不思議な世界を描き出しています。『遠野物語』の入門編としてもおすすめです。
『まよいが』(別ウインドウで開く)迷い家)とは訪れた者に富をもたらすという山中の幻の家の話。訪れた者はその家から何か物を持ち出してもいいことになっていますが、誰もがその恩恵にあずかれる訳ではない…。絵は虫の絵本などをたくさん書かれている近藤薫美子さん。山や森の風景や植物を独特の世界で描いています。
この他に『やまびと』(別ウインドウで開く)『かっぱ』(別ウインドウで開く)の計3冊が刊行されていて、それぞれ違う作家の絵の世界が広がります。

備考

小澤俊夫昔話講座のおしらせ(問い合わせ:上郷図書館 電話0265-52-2551)
6月に大好評だった講演会を受け、今回は2講座を企画しました。ぜひご参加ください。

講座(1)

「子どもの育ちに大切なこと」
平成28年11月14日(月)9:30~11:30
会場:伊賀良公民館
参加費:500円
子どもの心がすこやかに育つために大切なことを伝えます。

講座(2)

「昔話を語ってみませんか」
平成28年11月14日(月)13:30~15:00
会場:柳田國男館(飯田市美術博物館)
参加費:1000円
昔話の語り方の実践を学びます。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。