テレビや雑誌で韓国の話題を見ないことがない最近。韓国の絵本の日本での出版も増えてきました。
優しく暖かく人情深く、またある時はエネルギーにあふれた韓国の作品は、大人にこそお勧めしたいものがたくさん。
今回は秋の初めに読みたい3冊をご紹介します。
あかいはなさいた 詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
タク・ヘジョン/文・絵 かみや にじ/訳 岩波書店 2008年
表紙に描かれた満開のまつばぼたんが印象的な1冊です。寒椿からベゴニアまでさまざまな「あかいはな」が写実的に描かれており、「ちいさくてかわいい」花ではなく、サッカーの応援ユニフォームの赤、キムチの赤、韓服の赤を彷彿とさせる、まるで韓国そのものらしい「鮮やかで力強い」花です。
どれもどこにでもあるような身近な花ですが、花の持つ「赤」が一色ではないこと、葉の緑との調和の妙に気が付かされます。それぞれの花に添えられたたった一言の言葉がその花の赤の美しさと魅力を十分に伝えてくれます。日々の散歩も楽しくなりそうです!
ヨンイのビニールがさ 詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
ユン・ドンジェ/作 クム・ジュボン/絵 ピョン・キジャ/訳 岩崎書店 2006年
老若男女問わず『詩』が大好きな韓国。昔書かれた詩に現代のイラストレーターが絵をつけたものが多いのが韓国の絵本の特徴の一つです。つらい時代を生き抜いた世代への尊敬と感謝の表れとも言われますが『ヨンイのビニールがさ』もそんな一冊です。
雨が降る朝、ヨンイは学校に行く途中で雨に打たれて眠るおじいさんを見かけます。子供にからかわれ、商店のおばさんからはうとまれるおじいさん。ヨンイはそっとおじいさんに傘をさしかけます。
この詩が作られたのは韓国がまだ貧しかったオリンピック前の80年代。ビニール傘は貧しさの象徴でした。布製の上質な傘を持てない貧しいヨンイの素朴な優しさと勇気に胸を打たれます。
ソリちゃんのチュソク 詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
イ・オクベ/絵・文 みせ けい/訳 セーラー出版 2000年
チュソクとは、旧暦の8月15日を間にはさみ、3日間のお休みになる韓国の名節です。人々はみな故郷に帰省し、懐かしい人に会い、中秋の名月と祭りを楽しみます。
帰省の前のせわしなさ、高速道路の渋滞、やさしいおばあちゃんが笑顔でお出迎え、お祭りの食事。日本のお盆とも重なる「韓国の秋」を幼いソリの語りと緻密であたたかい絵で味わうことができます。
チュソクの終わり、街へ帰るソリにおばあちゃんはたくさんの野菜やお米を持たせてくれます。やっぱりお隣の国。ちょっとさみしいお別れにも親しみを感じます。
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