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よむとす No.145 一期一会の“本”!? 2017年01月15日

[2017年6月8日]

ID:77

一期一会の“本”!?

中央図書館 代田 智之

みなさんは博物館や美術館などで開催される展示はよくご覧になりますか?ゆっくりと展示を見たあと、ミュージアムショップで足をとめて購入を迷うのが展示会の図録(カタログ)です。
図録は、展示のパンフレットという位置づけであり、厳密には“書籍”ではありません。著作権法の中にも、「観覧者のために解説や紹介を目的とした“小冊子”」であると規定されています。そのため、書店の店頭に並ぶことはなく、会期中に会場で購入しなければ入手がほとんど不可能になってしまいます。
このような性質から、図書館で所蔵する図録は、そのほとんどが主催者からの寄贈でいただいたものです。
そんな図録について、おすすめのものを紹介いたします。

『日本の近代化に挑んだ人びと』田中芳男と南信州の偉人たち 田中芳男没後一〇〇年記念特別展

こちらは、平成28年10月1日から11月27日まで飯田市美術博物館を会場にして行われた展示の図録です。期間中は、多くの方々が来場し、郷土の偉人たちの業績について展示品とともに思いを馳せたのではないでしょうか。
この図録の内容は、田中芳男にとどまらず南信州の偉人を多数紹介し、その人物ゆかりの品と一緒に簡潔に業績をたどることができます。
また、会場で細かい説明まで読むことができなくても、購入すれば自宅でゆっくりと鑑賞し、知識を深めることができます。実際に鑑賞した記憶を想起させ、思い出として残すことができるのも図録の持つ力ではないでしょうか。

『菱田春草 没後百年記念特別展』春草晩年の探求 日本美術院と装飾美

こちらも飯田市美術博物館にて、平成23年9月3日から10月2日までの会期で行われた展示の図録です。
前述の図録とは異なり、「菱田春草」という一人の人物の業績を作品とともにたどっていくため、説明や背景が作品ごとに解説されています。代表作も収録され、一枚の写真が大きいため、より作品の細部や一作品ずつ鑑賞したいという場合は、こちらがおすすめです。
美術書は重い本が多く、開いて鑑賞することが億劫になってしまいがちですが、思い立って手軽に作品を鑑賞できるのが、図録の良いところではないでしょうか。

『展覧会カタログの愉しみ』

図録ではありませんが、図録に隠された制作意図やデザインの紹介、評論など図録にまつわる話をまとめた一冊です。
「カタログとは何か」という話から始まって、27名の方がさまざまな視点で図録の批評を行い、それぞれが面白さについて述べています。また、展覧会や古いカタログの探し方も掲載されています。
今まで知らなかった、図録の世界の裏側について知ることができること間違いなしです。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。