図書館には、たくさんの本が寄贈されてきます。その中には、地元・飯田市民の方が自費出版された本もあります。今回は、この9月に寄贈を受けた本の中から、地元の女性が出版した本2冊をご紹介します。
市販の本にはない、あたたかさと身近な感覚。「そうだなあ」「ほんとに、ほんとに」とうなづけ、心打たれます。
『ちびっこPOWER 口頭詩』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
小林南/発行 自費出版 2011年
1982年2月1日
「なおちゃんはどこから来たの?おうちにはこんな子はおらなんだなあ」と家人に云われて、しばらく考えてから
なお「パチンコでとってきたの」
こんな、子どもならではの「つぶやき」を口頭詩と呼ぶが、本書は、小林南さんが子育て期に発行した家族新聞『南風』で取り上げた口頭詩をまとめたもの。次々と奈緒ちゃんの、楽しくて、大人では思いも付かない発想や言葉が続く。これに対する、家族の対応も愛情と機智に満ちていて、ほのぼのとする。
そして今、その主人公・奈緒さんも後書「家族からの言葉」に、「家族総出で一つ屋根の下、どのように子どもと向き合い、子育てをしていたのか。当時の様子は、まるで、自分の記憶にあるかのように脳裏に浮かんできます」とし、「これからの私の育児書であり、家族の歴史を築く上での指南書です」と寄せている。
下平惠子/発行 自費出版 2011年
短歌
娘と孫の乗りゆく急行追いかけて一人残りぬ雪のホームに
ピアスして茶髪の乙女驛に降り家に向かう顔やさしくなりぬ
詩「女たちの集会所」
還暦をとっくに過ぎた 女8人は友達です
嫁となって里を去り この地に足をとどめて 子を産み育て
互いに励まし合い 助け合ってきて
苦しいこと悲しいこと 何もかも話すのです
(中略)
そしてみんな笑顔で 集会所から家へ帰ります
書名は『随想』だが、下平惠子さんの各分野にわたる作品をまとめたもので、幅広い。目次を紹介すれば、建設標/詩/私の声/えにし(あの時の1枚)/短歌(NHK)/若き日からの油絵習作。
年輪というものだろう。若い人には見えないものがある。結婚し、子を産み育て、その子が嫁いでいく。人生のその時代その時代を、誠実に、精一杯生きてきた、一人の女性がここにいる。
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