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よむとす No.125 よむとす お練りまつり ~いまむかし~ 2016年03月15日

[2017年6月8日]

ID:69

お練りまつり ~いまむかし~

中央図書館 宮下 裕司

今年は、数えで7年に一度のお練りまつりです。3月に入って地元新聞等でもお練りに関する記事が連日掲載されるようになり、飯田の街も盛り上がってきています。図書館でもお練りまつりに関する本の問い合わせが、年明けごろから出始めて、お練りの年であることを感じます。
城下町飯田の発展とともに、お練りまつりには350年以上の歴史があると伝えられています。これまでに出版されたお練りまつりに関する本の中から、それぞれの時代を感じさせてくれるものをご紹介します。

飯田のおねり祭り

表紙の著者名は烏寒三郎(からすかんざぶろう)となっていますが、これはペンネームで、書かれた方は、戦前から戦後にかけて活動された郷土史家の今井源四郎さんです。出版された昭和13年もお練りの年でした。
お練りまつりの由来を、江戸時代の古文書や当時の古老からの聞き取りなどで紹介しており、図書館で所蔵しているお練りまつりに関する本の中でも古いもののひとつです。昭和の初めは、幕末・明治もまだ近い過去だった時代で、江戸時代のお練りまつりの様子が、細かなエピソードも交えて記されており、興味深い本です。
戦前の出版物のため、旧字体で手軽に読めるものではないかもしれませんが、出版元は地方出版の先駆けとして、戦前の郷土史に偉大な足跡を残した山村書院であり、お練りまつりの資料としてだけではなく、飯田の出版史からみても貴重な1冊です。

お練り百年 昭和49年甲寅

題名となっている『お練り百年』の百年は、明治5年(1872年)から数えたもので、維新後初となったこの年のお練りまつりが、現在に伝わるお練りの原形になるそうです。その理由のひとつが、お練りを代表する演目である本町三丁目の大名行列がこの年から行われたことによります。
内容は記録写真を中心とした3部構成となっており、第1部は昭和49年のお練りまつりの様子を一部カラー写真も含めて紹介しています。第2部は写真でみる百年と題して、明治、大正、昭和初期、戦後とそれぞれの時代のお練りを貴重な写真で伝えており、大火で焼失してしまった本屋台や、今は見ることができなくなってしまった古い演目の「大江山」や「鹿島おどり」の写真も収録されています。お練りの記録ももちろんですが、明治、大正、昭和の飯田の古い街並みにも目が引かれます。

南信州飯田お練りまつり ガイドブック全参加団体

最後は今回平成28年のお練りまつりの本です。龍共印刷さんによるお練りまつりのガイドブックで、前回の平成22年に次ぐ企画です。A4判でほぼフルカラーのつくりとなっており、参加する団体全てが写真入りで、演目の由来や見どころなどについても紹介されています。とても見やすく、お練り見物に役立つこと間違いなし。限定出版だそうで、お練りまつりの会場で販売もされるそうです。
手軽な冊子ではありますが、この本も50年後には、お練りの記録を伝える大切な1冊となるでしょう。

この他にもお練りまつり奉賛会による記念帳など、図書館にはお練りまつりに関する資料がまだまだあります。興味のある方は、郷土資料コーナーへお越しください。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。