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よむとす No.22 ~広くて深い辞書の世界~ 2011年12月01日

[2017年6月8日]

ID:44

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~広くて深い辞書の世界~

『舟を編む』

『舟を編む』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

三浦 しをん/著 光文社 2011年9月

独特の着眼点でユニークな作品を描く人気作家の三浦しをんさん。新作の舞台は、大手出版社の辞書編集部。辞書はその他の単行本や雑誌と違って、一冊を仕上げるのに膨大な時間と労力を使って作られるものです。入社以来、三十年以上辞書作りにその身を捧げてきた老編集者の荒木は、定年を目前にして、かねてからの夢であった国語大辞典の編纂決定にこぎ着けます。長年の同志であった監修者の国語学者、松本先生とともにつけた辞書の名前は『大渡海』。そこには、「辞書は言葉の海を渡る船」という熱い思いが込められていました。
しかし、定年を控えた荒木には、『大渡海』を編むだけの時間が残されていません。荒木の社内での最後の仕事は、言葉を愛し、なおかつ辞書作りという気の遠くなるような細かな作業を根気強く続けていくことができる後継者を探し出すことでした…。
言葉の本質的な意味は、人の思いや考えを人に伝えるためのものです。そして、広くて深い言葉の海の中から、伝えたい思いに最適な言葉を探すために、人は辞書を引きます。最近は、電子辞書の普及によって、一度も紙の辞書を引いたことがない大学生がいるなんて話を聞いたりしますが、辞書という本の向こう側には、辞書作りに関わった多くの人がいます。この小説は、そうした辞書編集部の個性的な面々が、十数年という時間をかけて一冊の辞書を作り上げるまでの物語です。この作品を読めば、辞書という本に対する見方がきっと変わります。

『古典基礎語辞典』

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大野 晋/編 角川学芸出版 2011年10月

『船を編む』に続くように図書館に入ってきた新刊の辞書です。編者の大野晋(すすむ)さんは、国語学者として長年日本語の研究にその身を捧げてこられた方です。大野先生がこの辞書の編纂に取りかかったのは、昭和57年(1982年)だそうですから、構想から約30年をかけて出版されたことになります。辞書の内容は、古典文学に見られる古語の基礎語3200語を集めて、それぞれの語の成り立ちや意味・用例を解説したものです。
序文によれば、大野先生は昭和49年に『岩波古語辞典』(別ウインドウで開く)を刊行されていましたが、ページ数の制限上、やむなく解説文をかなり削ることになりました。それを残念に思った大野先生は、この次はそれぞれの項目に分量制限を設けず、自由に必要なだけの内容を記述するという辞書を作ることを目指されたそうです。
執筆者は学習院大学国文科で大野先生のもとに学んだ方を中心に13名に上り、一語一語検討に検討を重ねられた原稿が集まっていき、当初の予定では大辞典になるはずだったのですが、平成10年頃から大野先生が病気がちになられたため、基礎語に絞った内容にする方針転換を余儀なくされたそうです。病床にありながら校正のチェックを行っていた先生の言葉は、「僕が生きている間は出さない。死んでから、できたところまで出す」という覚悟に満ちたもので、その言葉通り、大野先生は平成20年7月14日に、この辞書の刊行を待たずに帰らぬ人となりました。
辞書の序文には、編者の熱い思いと辞書作りのドラマが記されています。大野先生の最期の一冊を、ぜひ一度手に取ってみてください。

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