中央図書館 田中瑞絵
2月も中旬になると、テレビやお店などで雛人形を目にする機会が増えますね。桃の節句の後には端午の節句と、春は子供の成長を祈る行事が続きます。美しい着物の雛人形や勇壮な五月人形、兜飾りなど、お子さんやお孫さんのために用意される方もいらっしゃると思います。そこで、今回は着物や兜に関する本を紹介します。
『勇将の装い 戦国の美意識』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
長崎 巌/編著 ピエ・ブックス 2008.02
戦国時代、多くの武将達がその生き様の表現の一つとして、戦場での装いに大いに個性を発揮していました。甲冑や陣羽織はもちろんのこと、刀剣や鞍なども重要なファッションアイテムとして気を配ったようです。
この本では、名将達のさまざまな武装を紹介しています。秀吉の金色のビロードのマント、家康の熊毛の甲冑など、デザインのみならず素材にもこだわった名品揃いで、歴史に名を残した武将たちの好みや美的センスが感じられる一冊となっています。詳しくない方でも充分楽しめますので、ぜひ、お気に入りの一品を見つけてみてください。(ちなみに、私のお気に入りは伊達政宗の水玉模様の陣羽織です。イケてます!)
『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
橋本 麻里/著 新潮社 2013.02
変り兜とは、戦場で手柄を立て目立つために作られるようになり、自らの健在をアピールする役割があったと言われます。多くの人にカッコ良く見られたいという男心は、昔も今も同じのようです。ウサギの耳や、とてつもなく大きな牛の角、烏帽子型に乱髪頭、茄子のヘタを模したもの、などなど・・・。兜とは身を守る防具だという概念など吹き飛ばし、さまざまな意匠を凝らして作られた個性あふれる兜の数々。これを戦場で被れば、手柄を立てるどころか、かえって戦の妨げになりそうな気がします。(実際には使われなかったものも多いようです。)
著者曰く、「クールと呼びたいくらい振り切れたファッションセンス」の世界をお楽しみください。
『着物と日本の色 着物で綴る日本伝統色』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
弓岡 勝美/監修・コレクション ピエ・ブックス 2005.07
着物コーディネーター弓岡勝美さんのアンティーク着物コレクションを、日本の伝統色別に、着物や帯の中で表現された色で分類した本です。江戸末期から現代の着物なので、雛人形の時代というよりは、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』の時代でしょうか。
高度な染色技術と細やかな刺繍によって、色彩豊かに作られた着物は、「着る物」としての着物ではなく、「美術品」としての着物の美しさを楽しむことができます。また、日本の伝統色の名前や由来なども知ることができます。眺めるだけで、贅沢な気分になれる一冊です。『着物と日本の色 夏篇』(別ウインドウで開く)もありますので、こちらもあわせてどうぞ。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。
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