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よむとす No.131 前から読んで後ろからも読むと、真ん中で出あいます! 2016年06月15日

[2017年6月8日]

ID:24

前から読んで後ろからも読むと、真ん中で出あいます!

中央図書館 関口 真紀

前から読んでも後ろから読んでも…、ことばあそびの話ではありません。絵本のご紹介です。前から読むだけでなく後ろからも読める、そんなちょっとかわった絵本があります。
前からも後ろからもおはなしが始まると、たどりついた真ん中ではどんなことがおこるのでしょうか。

『うれしいさんかなしいさん』

『うれしいさんかなしいさん』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

まつおかきょうこ/さく 東京子ども図書館 2012年9月

前は「うれしいさん」から、後ろは「かなしいさん」からおはなしが始まります。「うれしいさん」は、公園に遊びに行こうと急いだので玄関の戸に頭をぶつけてしまい、「かなしいさん」になります。でもおまじないをしてもらって痛みがとれたので「うれしいさん」にもどります。それは泣いていたと思ったらすぐ笑う子どもの心そのもののように「うれしいさん」になったり「かなしいさん」になったりしながら、前から後ろからおはなしは進んでいき、真ん中で終わるつくりになっています。
この本は、2011年の東日本大震災を受けて東京子ども図書館名誉理事長の松岡享子さんが復興支援のためにつくられました。松岡享子さんは文章を書かれる方で、絵まで描かれたのはこの本が初めて。シンプルだけれど、子どもへの思いやりがいっぱいつまっている、あたたかみのある絵本です。
おはなしの最後になる真ん中のページは「うれしいさん」がいっぱいの公園の場面、観音開きにページが広がるようになっているのが、よりいっそう「うれしいさん」になることでしょう。

『とんでいく』

『とんでいく』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)

風木一人/さく 岡崎立/え 福音館書店 2000年11月

前から読むとタカのおはなし、後ろから読むとガンの子のおはなしです。淡い色合いの風景に真っ黒な鳥の絵、この黒い鳥がポイントです。同じ絵の場面なのにこの黒い鳥は前から読むとタカになり、後ろから読むとガンの子になる、不思議な絵本です。
1場面に文章がふたつ載っています。前から読むタカのおはなしは緑色の文字を、後ろから読むガンの子のおはなしは茶色の文字を読んでいきます。この二つのおはなしは全く別のおはなし、では真ん中のページはどうなっているのでしょうか。タカとガンの子は出あう?出あわない?答えは読んでみてのお楽しみ。

『友だちのほしかった大おとこの話 友だちのほしかったネズミの話』

今度は図書館の書庫にある絵本の中からのご紹介です。ちょうど30年前に出版された絵本です。前から読んで後ろから読んで真ん中で出あう絵本を私が最初に知ったのはこの本でした。サブタイトルにはまさに「出会いの絵本」とあります。表紙を開くと大おとこの足跡があってなかなかインパクトがあります。裏表紙を開くと、小さなネズミの足跡もちゃんとあります。そして、大おとこは身体が大きいのにいくじなしでこわがり、反対にネズミは小さいけどゆうかんで知恵もある、対照的な設定がおはなしを面白くしています。
作者のアンネゲルト・フックスフーバーはドイツの絵本作家、この絵本でドイツ児童文学賞を受賞しています。外国の絵本の歴史は日本の絵本の歴史より長くて深いので、書庫にある古い絵本でも味わい深いものが多いです。この絵本もじんわりと良さを教えてくれます。もう購入できない古い出版の本が読めるのも、図書館の良いところですね。

よむとす

「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。