よむとす　No.274　歴史小説はいかがでしょう

私は小説の中でもいわゆる「歴史モノ」が好きです。以前の「よむとす」でも私の好きな歴史小説を取りあげましたが、今回もいくつか紹介させていただきます。

『趙雲伝』（別ウインドウで開く）

塚本　靑史/著　河出書房新社　2022年2月

趙雲といえば、「三国志」のなかでも人気のキャラクターでありますが、綺羅星のごとく登場する英雄たちの中で、曹操や諸葛亮などの第一線の人物よりも、ちょっとひいたところで光り輝くのが「趙雲」という人物ではないでしょうか。そんな「趙雲」を主人公にした小説が出版されました。

趙雲の見せ場のひとつとして描かれていた「長坂坡の戦い」など、戦の描写は非常にあっさりとしていますが、劉備と出会う前の公孫瓚の麾下時代の話など、今まで触れることの少なかった時代の動きや、他の人物に対する趙雲の考え方を垣間見ることができる、おもしろい作品です。

脚色された「三国志演義」に登場する趙雲ではなく、残された書物から読み解かれる史実としての趙雲は、まさにこの小説の描かれ方そのもののような人物なのかもしれません。

『日本史の謎にせまる歴史時代小説』（別ウインドウで開く）

日外アソシエーツ株式会社／編　日外アソシエーツ　2021年11月

みなさんには、好きな歴史上の人物はいますか？気になった歴史上の人物の小説を読みたいと思ったことはありますか？

この本では、日本の歴史上の人物が、過去にどのような作品になったのかを調べることができます。収録されているのは、卑弥呼から幕末・維新期までの374名。1945年から2021年に刊行された、のべ3,857点の図書のブックガイドになっています。

時代別の索引や著者名索引も載っているため、同時代を生きた他の人物の視点から描かれる人物像や、別の作者の手を通して描かれる姿など、さまざまな視点からその人物に触れるための手掛かりとなります。

気になった人物を蔵書検索でササッと調べてしまうのが手軽かもしれませんが、この本を使うと、飯田市立図書館に所蔵のない本も調べられるほか、「次はあの人物を見てみよう」、「この著者はおもしろかったから別の著作を見てみよう」と芋づる式に興味を広げられる1冊となっています。

この本は調べ物をする時に使用する「参考図書」という扱いになっているため、館外への貸出は禁止となっております。中央図書館の館内にて、次に借りる本を探す参考に、ぜひ手に取ってみてください。

「よむとす」とは“読む“と“～せむとす”（ムトス）を合わせた造語です。

飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。