上郷図書館 関口 真紀
飯田市立図書館では、「えほんの会」という講座を上郷図書館を会場に開催しています。月1回、通年10回の連続講座です。子育て中のお母さん方を対象に、絵本を紹介したり、子育てに関連した本の情報を提供したりしています。職員による絵本の読みきかせや、親子でふれあうわらべうたもご紹介しています。今回は、その講座で使った本を2冊取り上げてみたいと思います。
『ことばの贈りもの』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
松岡享子/著 東京子ども図書館 2009年8月
この本は「えほんの会」のテキストとして使用しています。乳幼児期の子どものことばの発達や、心の成長について考えていくのに最適な本です。著者の松岡享子氏は、子どもの本の世界では第一人者的立場にいる方であり、全国に子どもの本の情報を発信している東京子ども図書館の理事長をしておられます。
今、赤ちゃんに絵本の読みきかせをすることがよいとされていますが、著者は、赤ちゃんに絵本を与える前に大事なことがあると言います。お母さんが赤ちゃんと視線をあわせ、気持ちをかよいあわせること、このことが前提にあった上で絵本の読みきかせをしてほしい。乳幼児のことばは、まわりの大人からたっぷりと可愛がられ、安定した人間関係があってこそ発達するものなのだと言っています。
そのほか、テレビのつけっぱなしや空疎なことばの氾濫が及ぼす悪影響の問題などもとりあげられています。乳幼児期の子どもをもつお母さん方はもちろん、子どもにかかわるお仕事・ボランティアをされている方など、子どものまわりにいるすべての大人に読んでいただきたい本です。
『あかちゃんとお母さんのあそびうたえほん』詳細情報のページはこちら(別ウインドウで開く)
小林衛己子/編 大島妙子/絵 のら書店 1998年4月
ここでいう「あそびうた」は、親子のスキンシップとなるわらべうたのことです。前述の『ことばの贈り物』で、わらべうたはぎこちない人間関係を乗り越え、母子の交流の密度を濃くする助けになると言われています。この本は、絵本のような、小型で手にとりやすい装丁になっており、「にらめっこ」や「おつむてんてん」など、なじみのあるわらべうたがいくつも紹介されています。「えほんの会」でも、ここで紹介されているわらべうたをみんなでやって楽しんでいます。わらべうたの本は図書館に何冊もありますが、この本はそのなかでもとてもわかりやすいわらべうたの本です。乳幼児期の子ども向けのわらべうたですが、保育園にあがってもじゅうぶん楽しめるのではないかと思います。
図書館では、このような講座以外でも本に関する相談をお受けしております。自分の子どもにどんな本を読んであげたらいいの?など、なんでもお気軽に職員に声をかけてください。
「よむとす」とは“読む“と“~せむとす”(ムトス)を合わせた造語です。
飯田市におけるムトスの精神を生かし、読むことにかかわる活動の推進と支援を目的とした読書活動推進の合言葉です。
飯田市立中央図書館飯田市立図書館